おおいぬ座 Canis Major(CMa) 


 おおいぬ座はオリオン座に引き続き、のぼってくる星座ですが、この星座の一番の見どころは、全天一の輝星であるシリウスでしょう。
 シリウスとはギリシャ語で「焼き焦がすもの」という意味で、まさにギラギラと輝く様はそのように感じますね。これほど明るいのは、北半球から見える恒星としては、最も地球に近い(約8.6光年)からです。表面温度は、約11000度、太陽の2倍程度の質量を持つ星ですが、大量の水素を消費するため数億年で寿命が尽きると考えられています。太く短い一生なのですね。なお、シリウスは古代エジプトではナイル川の氾濫時期を知らせてくれる重要な星でした。
 このシリウスには伴星があり、シリウスBと呼ばれています。直径は地球の2倍くらいですが、重さが太陽程度あり、平均密度は非常に大きな星(水の15万倍)です。
 神話ではオリオンの猟犬であるとも言われていますし、他にもライラプスという犬だったとも言われています。ライラプスは、必ず獲物を捕まえる力を持つ優秀な犬でしたが、ある時飼い主ケパロスのところに、決して捕まらない牝狐を捕まえるよう依頼が来ました。
 決して捕まらない牝狐を追いかけるライラプスですが、牝狐は逃げ切ることができず、ライラプスも牝狐を捕まえることはできません。それを見た大神ゼウスは、ライラプスが獲物を取り逃がすことも、牝狐が捕まることも運命に反していると考え、両者を石に変え、ライラプスは天に上げて星座にしたということです。
 おおいぬ座には、見ごたえのある星雲や星団は少ないですが、一つ、シリウスの南に散開星団M42があります。双眼鏡で見ると、数十個の星が青白く輝いているのが分かると思います。