くじら座 Cetus(Cet) 


 くじら座はアンドロメダ座の南側に広がる大きい星座です。全天88の星座の中では3番目に大きな星座です。しかしその姿は、海を優雅に泳ぐ大きなクジラとは程遠いお化けクジラですね。巨大な爪をもつ前足と牙をむいた顔…怖ろしいですね。
 神話では、カシオペヤ座で書かれているように、ケフェウスとカシオペヤの娘であるアンドロメダ姫を襲おうとしたお化けクジラです。しかしアンドロメダを食べようとしたその寸前に、空からやってきたペルセウスに退治され、石になって海の底深く沈んでしまいました。
 さて、全天で3番目に大きい星座とは言いながら、なかなかこの星座も明るい星がなく見つけにくい星座です。最も明るい星は、しっぽのところで輝いている2等星のデネブ・カイトスです。これはくじらの尾という意味で、その通りですね。
 ここから東に4つの3等星でつくら形が尾と胴体を表し、くじらの頭の付近には、いびつな5角形が見えます。ところで、胴体と頭を繋ぐ線上にくじら座ο星と言われる変光星ミラがあります。この星は332日の周期で、2等〜10等まで明るさを変える変光星で、ミラとは「不思議なもの」という意味があるそうです。約半年間は6等以下になるために、かつて星があった場所に星がないと昔の人は思い、不思議なものと名付けたのかもしれません。
 この星は、太陽の約440倍もある赤色超巨星で、老人星であるために星が安定せずに膨張と収縮を繰り返すことから明るさが変わっているようです。また最も明るいときには2等星と言われていますが、2等まで明るくなることも少なく、たいていは3等〜4等程度のようです。