ふたご座 Gemini(Gem) 


 ふたご座は冬厳しい2月の20時頃にほぼ頭の真上に仲良く並ぶ2つの明るい星が目印です。一つが兄のカストル、もうひとつが弟のポルックスで、兄のカストルのほうが若干暗い感じがしますが、ほぼ同じ明るさです。
 この双子の兄弟は、白鳥(はくちょう座)に化けた大神ゼウスとスパルタ王の妃レダの間に生まれた子供(兄はスパルタ王の子供とも言われている)で、長じて兄は弓矢と乗馬の名手、弟は拳闘の名手となったようです。二人は様々な冒険で大活躍をしますが、イーダスとリュンケウスとの争いで兄が憤死すると、弟はこれを嘆き、自分の不死(ゼウスの子供なので、不死身だったらしい)をゼウスに頼んで解いてもらい、二人で仲良く天の星座になったと言われています。
 さて、ふたご座のカストルは1.6等星で、分類上2等星にされますが、これがたくさんの星の集合体であることは余り知られていません。実はカストルは、望遠鏡で見ると1.9等と2.9等の星が互いに回りあっている二重星ですが、さらにそれぞれが二重星であり、その外側をもう一つの二重星が非常に長い周期でまわっている六重星なのです。一方のポルックスは、近年の観測で木星の1.5倍程度の惑星があることが確認されています。また星自体は太陽のおよそ9倍で、質量は2倍程度と考えられています。表面温度は約5000度で、太陽よりは若干低いようです。
 では、この2つ仲良しの星…どっちがカストルだったか、ポルックスだったか分からなくなった時には、「カ」ペラに近いほうが「カ」ストルと覚えておくと便利ですよ。
 この星座の見どころとしては、カストルの下に流れる冬の天の川に潜んでいる散開星団M35が美しいと思います。お隣のぎょしゃ座にM36〜M38という散開星団がありますが、それに負けず劣らずの散開星団です。
 他にも、12月中旬に見られる「ふたご座流星群」は三大流星群の一つであり、比較的安定して流れ星が流れます。放射点は、カストル付近にあるので、これも防寒着を着て、夜空を見上げてみたらと思います。