オリオン座 Orion(Ori) 


 冬の星座の代表・・・あるいは88星座の中でも代表と言っていいかもしれない星座がオリオン座です。その整った形や、明るい星で構成され、都会の中でもその形を認識できるのは星座の王者にふさわしいかもしれませんね。
 さて、オリオンですが神話では狩人で、海の神ポセイドンの息子です。自分の強さを自慢しすぎたため、地中から現れたサソリ(さそり座)の毒針で刺し殺されました。その後、オリオンもサソリも星座となって天に上げられましたが、オリオンはサソリを恐れ、さそり座が天にある間は絶対に天に昇らず、サソリが西の空に隠れてから、初めて東の空に姿をあらわすようになりました。
 他の神話では、アルテミス(月の神)とオリオンが親しくなったのに嫉妬したアポロンが、オリオンの頭を金色に変え、海を渡らせた。オリオンとの十分距離が離れた時、アポロンは何も知らないアルテミスに「あの黄金の的は射ぬけるか」と誘いかけ、アルテミスは言われるままに黄金の的(オリオンの頭)を射抜いた。悲しんだアルテミスは、オリオンを星座とし、月の通り道に配して、月に一度逢いに行くようになったと言われています。
 オリオン座には、明るい2つの1等星があります。ひとつは右肩で輝いている赤い星、α星ベテルギウスです。もう一つは左足で白く輝いているβ星リゲルです。日本では、旗印に例えて、ベテルギウスを平家星、リゲルと源氏星と呼んでいました。ところで、ベテルギウスは近年超新星爆発を起こすのではないかと言われていますね。確かにこの星は、太陽の500倍以上ある赤色超巨星で、太陽の位置におくと、木星軌道までの大きさがあります。表面に大きなコブがあるとか言われ、非常に不安定な星です。超新星爆発を起こす可能性もありますが、地球から600光年離れているので、直接の影響はないと思われます。一方のリゲルは表面温度が1万度で、実際の明るさは太陽の3万倍も明るい巨星です。
 また、オリオンのベルトの位置に輝いている三つ星は、真東から昇って真西に沈みます。これは天の赤道上に三つ星がちょうど位置しているためで、北極星同様に方位を知る道しるべになります。そして三つ星の並びの下に縦方向に並ぶ小三つ星が見られますが、その小三つ星の中央、ぼやっとした天体がM42.、オリオン大星雲です。オリオン大星雲は近年の研究から多くの星の卵や赤ちゃん星が生まれていることが分かっています。そして三つ星の一番東側ζ星近くには馬頭星雲やM78星雲(ウルトラの星?)が見られます。馬頭星雲は代表的な暗黒星雲で、星の原料となる物質がたくさんあります。他にもオリオン座を取り囲むようにバーナードループと呼ばれる超新星残骸があります。
 ここまで話すと、星の一生を語る全ての状況がこのオリオン座1つに詰まっているのが分かりますね。
 まず、星の原料となる暗黒星雲(馬頭星雲)→星が生まれているゆりかご(M42)→生まれた後の星たち(オリオン座を構成する星々)→老齢期にある星(ベテルギウス)→超新星残骸(バーナードルーフ)。ないのは、太陽程度の星の最期である惑星状星雲だけでしょう。
 冬の夜空は沢山の明るい星で輝いていますが、オリオン座を見るときにはそんな視点で見てみるのもいいかもしれません。