ペガスス座 Pegasus(Peg) 


 秋の夜空は寂しいですが、よく晴れた秋の晩に頭上を見上げてみてください。そこには2等星で出来た大きな四角形が見えていると思いますが、これがペガスス座の胴体にあたり、この四角形を秋の四辺形と呼びます。
 ペガスス座は、勇者ペルセウス(ペルセウス座)が、怪女メドゥサの首を切り落とした時、その血しぶきが近くにあった岩に飛び散り、その岩から躍り出たという天を飛ぶ馬のことです。星座絵では、上半身はありますが、下半身は雲に隠れた形で描かれています。
 神話では、生まれたのちにペルセウスがそれにまたがり、旅をしている途中にアンドロメダ姫を救います。ペルセウスとの冒険の後も、この天馬は様々な活躍をしますが、その中でもコリントスの英雄ベレロポンによるキマイラ退治がよく知られている物語です。
 キマイラは頭が獅子、体がヤギ、しっぽが蛇という怪物で、ベレロポンはこの退治を命じられていました。これを倒すためには、空飛ぶ天馬ペガススが必要という予言を受けていたベレロポンは、ペガススを獲得し、キマイラ退治に向かって、見事キマイラを退治します。その後、自分の国の王女と結婚し、めでたしめでたしで終わると思いきや、思いあがりのため自らを滅ぼすことになるのですね。
 ベレロポンは、誰も倒せなかったキマイラを倒したことで、有頂天となり、自分は神になれるのではと思って、ペガススに乗って天上のオリンポスに行こうとします。しかしそれを見た大神ゼウスは腹を立ててペガススを刺すようにアブ(他にも説はありますが)を放ちます。アブはペガススのお尻を刺し、その痛みにペガススは大暴れ、ベレロポンは空から落ちてしまいました。一方、ペガススは痛みの余り凄い勢いで空まで登っていき、そのまま星座になったと言われています。
 さて、ペガススの四辺形ですが…綺麗な四角形ですね。その四辺形の中にいくつ星は見えるでしょうか。特別明るい星もないので、数個見えればよいのですが殆どが4等星以下の暗い星です。6等星以上の星は十数個あるのですが・・・ペガスス座の脚の付け根のβ星近くに数個確認できれば、その空は十分暗いと思って間違いないかなと思います。日本では、この四辺形を桝形星と呼んでいます。
 秋の星座を探す際に、この四辺形は役に立ちます。見つけにくい秋の黄道12星座であるみずがめ座、うお座、おひつじ座もおおよその位置が分かるようになります。