さそり座 Scorpius(Sco) 


 夏の代表的な星座として有名なさそり座・・・これはかなり古い時代からある星座で、メソポタミアの古代遺跡から発掘される石柱や土柱にも描かれていることが多いと言われています。日本でも瀬戸内海地方ではそのS字が釣り針に似ていることから、魚つり星とか鯛つり星と呼ばれていました。
またさそり座は南の低い空にどーんと広がっており、星座の広さ第2位の「おとめ座」に匹敵する広さと思われるかもしれませんが、実はおとめ座は言うに及ばずお隣のてんびん座(29位)よりも小さい星座(33位)なんです。秋の有名なカシオペア座(25位)よりも小さいのです。びっくりですね。それがあんなに大きく見えるのは、地平線近くにあるための目の錯覚に加えて、明るい星で形よく作れているからかもしれませんね。
さそり座で有名な星はなんといっても心臓付近で赤く輝くアンタレスでしょう。これも老年期を迎えた赤色超巨星で、太陽の数百倍の大きさであり、一説にはもう超新星爆発を起こしているとも言われています。しかし私たちがそれを認識できるのは数百年後であり、実際のところはわかりません。
アンタレスは「アンチ・アーレス」つまり「火星に対抗するもの」という意味で、火星が黄道上でたまにこの星と赤さを競うためにつけられた名前です。
さそり座のモデルは、自分がこの世で一番強いと自慢するオリオンの傲慢さに怒ったヘラ(ゼウスの正妻)が、さそりを放って毒殺したというそのさそりであり、そのため星座となってからもオリオンはこのさそりを恐れ、さそりが東の空に昇ってくると、西の空に隠れてしまい、さそりが西の空に沈むのを待って、東の空から昇ってきており、両者が同時に空に現れることはないと言われているのですが、厳密に見てみると・・・オリオンが西の空に沈む時、すでにさそり座は東の空に顔を見せていますが、オリオンはさそりが完全に西の空に沈まないと決して東の空には現れないようです。
さそり、恐るべし!