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初めて星を見る人に  空を見上げてみよう!

肉眼で星空を見る

星を見るのには望遠鏡が必要ですよね!ふっくんがボランティアで星空を案内するときに、たまに聞かれます。でも、実は星空を見る本当の醍醐味は「肉眼」で星をみる!ということ、知っていました?
人類の歴史で望遠鏡による星の観察は、わずか400年、一般人が望遠鏡で星を見るようになって200年ちょっとです。でも、太古の昔。。。そう数千年もの昔から人類が星を見続けて星の物語を紡いできたのは私たち誰もが持っている「目」ですからね!
もう少し肉眼で見る星空の素晴らしさを再認識してみましょう。

肉眼で見える天体!

人間の目・・・つまり肉眼で見える天体!ってなんでしょうか?
まず、月ですね。
西の空に夕暮れ時に見える三日月や、まん丸お月様が東の空から昇ってくるのを見て、はっとすることありませんか?月って大きいなぁって思う一瞬ですよね。

他にはもちろん夜空に輝く星です。同じように見える星の中にも、恒星と惑星があります。キラキラ輝いて位置を変えない星が恒星、あまり瞬かず、ゆっくりと位置を変える星が惑星です。ややこしいですね!
惑星の中で、肉眼で分かるものは「水星」「金星」「火星」「木星」「土星」です。そして目がいい人で、本当に真っ暗なところで見るなら、理論上「天王星」も見ることができます。
そして何といっても「流星」・・・流れ星は望遠鏡や双眼鏡ではまず見られません。
後は、空の暗いところでは星雲(アンドロメダ銀河)や星団(すばるなど)なんか、見ることができます。
アンドロメダ銀河は、なんと230万光年彼方の天体を見ているのです。肉眼で見られる最果ての天体です。
そして我々の天の川銀河・・・いわゆる夏の天の川です。これも望遠鏡では絶対に全貌を見ることができません。

明るいところで星は見えない?

自分の目で星を眺める・・・。それも数え切れないほどの・・・なんて贅沢をしてみたい!
まず、晴れた日の夜に外に出てみましょう。あなたの住んでいるところが田舎なら何もいうことはありません。おそらく夜空には数え切れないほどの星が輝いている・・・と言いたいところですが、最近は防犯のため街灯がよく見られます。これはこれで非常に大切な役割を果たしているのですが、街灯の近くでみる星空はさびしい限りですね。街灯は星空を見るには少々邪魔なものです。どうして街灯や建物の明かりがあると星空は見えにくいのでしょうか?
人間の目は、明るいところ、暗いところに合わせて瞳孔を調整して最適の絞り条件でモノを見ています。言うなれば世界最高のオートフォーカスって感じでしょうか?ですから周辺に明るいものがあると、それに合わせておのずと瞳孔を狭めて必要以上の明かりが入らないようにし、逆に暗いところでは瞳孔を広げてわずかな光でも感じるようになっているのです。
では、どうすればいいのか。この場合、街灯を間違っても壊してはいけませんよ!一番手軽な方法は、街灯の光を隠すことができる建物の影から星空を見ることです。多分それだけでも、かなり違って見えるのではないでしょうか。ややこしいですね!

さて、人間の目は明るいところ、暗いところに順応して目の瞳孔を調節するといいましたが、暗いところへの順応はかなり時間がかかります。たいていの人が5分〜10分くらいでしょうか?逆に明るいところへの順応は数十秒から数分ですただし見え味は違います!。映画館など暗い場所にいきなり入るとなかなか周りが見れませんが、逆に出るときは眩しいと感じてもすぐに周辺が見られるようになりますよね。
ですから暗いところに慣れた目に懐中電灯やら車のライトなどが当たるとほぼ一瞬で暗さに順応した目が元通りになっちゃうので、星を見る際にはそれを気をつけていきましょう。

たくさんの星を見るには?

肉眼で見える星って、いくつくらいあるかご存知でしょうか?全天で見える明るい星は1等星、肉眼で見える最も暗い星は6等星と定義されており、1等星は全天で21、2等星は67、3等星は約190、以下4等星は約710、5等星は約2,000、6等星は約5,600あります。全天でおよそ8600になります(国立科学博物館Websiteより)。この半分は、地平線以下にあるとして、私たちが見られる星が4300、さらに地平線近くはその場所に地形や塵や靄の影響でみえないとしたら、最高の理想的条件でおよそ3000〜3500の星を我々は見ることができるということになります。数が多いものの例えで「星の数ほど」という言葉がありますが、数千というのは本当に「星の数ほど」という感覚と同じかどうかは個人差があると思いますが、やはり多いですね。
もちろん街中でこんなに星を見ることは無理があるでしょうが、少しでもたくさんの星を見るために工夫をすることはできます。
それをちょっと考えて見ましょう。

○街灯・ネオン・光る看板などから隠れた場所

前にも書いたように、人間の目は周辺の明るさに応じて瞳孔を調整します。しかも視界に入る最も明るいものに対しての調整を行うので、明るいものが近くにあればあるほど星は見えなくなります。
街灯やネオンがあるときは、それが隠れる位置から夜空を見上げてみましょう。
でもひとつ厄介なのが、夜空を照らすサーチライトですね。これは隠しようがありませんから・・・さらにサーチライトが雲などに反射すると雲が光ってしまい、ますます星は見えづらくなってきます。空に何をPRするのか分かりませんが、こういう行為はエネルギーの無駄遣い、ひいては経費の無駄遣いだと気がついて欲しいものです。

また、深夜をすぎると街明かりも徐々に少なくなってきます。元気があればその時間に星を見るのもひとつの手かもしれません。

○月明かりのない夜

満月時の月明かりは、太陽の50万分の1程度といわれています。それでも満月のときに見る星空と月のない夜に見る星空とでは星の数が違いますね。また、晩秋から冬は月が空高い軌道を通るので、天頂から煌々と月明かりを照らすものですから余計に星が見えづらくなります。これは街中より、街明かりの少ない田舎に行ったときのほうが実感できると思います。
新聞等に出ている月齢表を見ながら、月が早く沈む三日月すぎまでの間か、深夜過ぎに月が昇る月齢20以降の晴れた日に星を見るといいのではないでしょうか。特に三日月過ぎまでだとそれなりにお月様も見られて、その後は月明かりに邪魔されず星が見れるというゴールデンタイムになりそうですよ。

○空気の透明度

ふっくんは春〜秋に近くの公開天文台(美星天文台)に星座案内のボランティアに行くのですが、時々瀬戸大橋や倉敷(水島)、福山の街並みが全く見えない日や、肉眼でもはっきりと見える日などその日の空の状況により大きく異なります。でも地平線近くで遠くの景色がはっきり見える日→透明度が高い日は、かなりの確率で夜空も素晴らしいものになります。
季節的なものとして、春の黄砂などは春霞などと風情があるものかもしれませんが、お星様をみるには少々つらいものですよね。また梅雨時から夏には水蒸気が大気中にたくさん含まれるため、晴れていてもどよーんとした日が多くなります。
透明度を夜空で判断するのは、それなりの経験が必要なので、まずは遠くの地平線に近い景色がはっきりと見えるかどうかで透明度を確認してみるのはいかがでしょうか?

○やっぱり、街明かりのない田舎!

だいたい主だった星座は1等星から4等星でできています。中には「きりん座」などのようにもっとも明るい星が4等星なんて星座もありますが・・・つまり4等星まで見えればなんとか殆どの星座をつなぐことができるわけです。
でも、街中では2等星がせいぜいというところも少なくありません。
ところで、北斗七星は6つの星が2等星で、ひしゃくの柄とカップの交点にある星のみ3等星です。自分の街からどのくらいの星が見えるかのひとつの目安になりますね。では2等星までしか見えない街中から4等星が見える田舎に行けば、他の条件が同じなら夜空の星はこんなに違うわけです。

ちなみに究極の星空・・・6等星まで見えると、またまたこんなに違います。こういうのを職人といいますよね!

星の明るさが1等ちがうと、約2.5倍明るいといわれます。つまり2等星までしか見えない街中から4等まで見える田舎に行くには、2.5×2.5→6.25。。。つまり街中より1/6以下の明るさしかない田舎に行かないと行けないわけですね。6等星が見える究極の星空を見ようと思ったら、2.5×2.5×2.5×2.5→39.1。。。つまり街中の1/40以下の明るさしかない田舎に行かないと理屈上だめな訳です。今の日本にどれだけそんな田舎が残されているのでしょうね。

最後に。。。

曇りの日の夜に、空がボーっと明るくなっているのを皆さんは見たことがあると思います。雲そのものは水蒸気の集まりなので、決して光ることはないのですが、どうして夜空はボーっと光るのでしょうか?

これは、街明かりや広告の光、道路を走る車のライトなどが夜空の雲を照らしてボーっと明るく光らせているのです。雲だけではありません、空気中の塵や細かい粒子が多ければ、街の明かりはそれに反射してあたりをぼんやりと明るくしているのです。このような人工の光による影響を総じて「光害」といいます。
詳しい話は、星空環境と光害のページで述べていますが、私たちが生活していく上で必要な光(それはお祭りやイベントの光も含めて)と無駄にエネルギーを消費するだけの光をしっかりと区分けして、自分たちを取り巻く自然環境との共存を考えるときに来ているのではないでしょうか?そのためにも人の目で夜空の健康のバロメーターである星空を観察してほしいと思います。もし、星空が見えなくなったとき・・・それは私たちの終焉のときであるかもしれません。

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