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太陽系の不思議 星空の不思議 銀河宇宙の不思議 用語解説

惑星の不思議

 夜空に輝く星を結んで星座をたどるときに、時として明るい星が目に付くことがあります。そしてその星は数日経つと位置を変えているのであれば、それは地球の兄弟星である「惑星」です。
 惑星は黄道の周りを運動する比較的明るい星で、水星、金星、火星、木星、土星は肉眼でも見ることができ、古くから知られていました。(水星は、条件がよいときでも日没後、すぐかあるいは日の出前の短い時間しか見ることができないので、かのガリレオは見ることができなかったと言われていますが・・・)またその外側には天王星、海王星があります。
惑星とは、いったいどのような素顔を持つ星なのでしょうか?それを見てみたいと思います。

惑星とは?

惑星とはどういった星なのか?ごつごつした小惑星とは違うけど、どう違うのか?観測技術の発達により、冥王星近傍に沢山の天体が発見されたが、これは惑星とは違うのか?そんなあれやこれやが重なって、惑星とはいったい何ぞや?という話になり、2006年の国際天文学連合(IAU)で惑星の定義が決められました。
その惑星の定義とは、以下の3つを満たすものだということです
@太陽の周りを回る天体であること。
A自己重力により、丸くなっている天体であること。
Bその軌道の近くに他の天体がないこと。
この結果、今まで9番目の惑星として認識されていた冥王星はその周辺に似たような天体が多くあることや、冥王星より大型の天体(エリス)が発見されたことから、惑星の分類から離れて「準惑星」となりました。準惑星は他にも「エリス」、「ケレス」、「マケマケ」、「ハウメア」が分類されています。
準惑星の定義は、@、Aは惑星と同じですが、「その軌道近くに他の天体があること」「衛星でないこと」と定義されています。

惑星の種類と公転運動について

惑星には大きく3つの種類があります。
まず、太陽に近い順に、水星、金星、地球、火星は主に岩石と鉄で出来た惑星で岩石惑星(地球型惑星)と呼ばれています。
続いて、木星、土星は主に太陽と同じ水素・ヘリウム・その他ガス分子で出来ているためガス惑星(木星型惑星)と呼ばれています。
天王星、海王星については、岩石の核に氷のマントルが覆って、その外側に水素を中心としたガスが覆っている構造になっているため、氷惑星(天王星型惑星)と呼ばれています。

惑星の公転スピードは、太陽に近いほど早く、水星は毎時17万2000km程度と猛烈なスピードで太陽の周りをめぐっています。地球は、毎時10万7000kmです。
一方海王星は毎時1万9500kmとややゆっくり(それでもジェット機よりずっと早いですが)です。
これにはもちろん理由があります。それぞれの惑星は、太陽の重力に引っ張られて太陽の周りを公転していますが、公転しているということは、太陽の引っ張る引力と遠心力が釣り合っているということです。ここで引力は太陽と惑星の距離の二乗に反比例(万有引力の法則)し、遠心力は距離の二乗に比例しますね。ということは内側の惑星ほど、早く動いて遠心力を強くしないと、太陽の引力に引っ張られて太陽に飲み込まれてしまいます。逆に遠心力が引力に勝るくらいに早ければ、太陽系から飛び出してしまいます。
そこで神様は、それぞれの惑星に、太陽の周りをつかず離れずのちょうどいいスピードで回るようにしたのでしょう。

惑星の動きとケプラーの法則

惑星の運動を説明するとき、重要な法則があります。それがケプラーの法則です。これにより惑星の運動は正確に予測が出来、現在のみならず、将来の位置も予測可能になりました。
ケプラーの法則は、以下の3つより成り立っています。
@惑星は太陽をひとつの焦点とする楕円軌道を動く。(楕円軌道の法則)

A惑星と太陽を結ぶ線分が単位時間に描く面積は常に一定である。(面積一定の法則)

B惑星の公転周期の二乗は、軌道の長半径の三乗に比例する。(調和の法則)

この法則の発表の後、ニュートンは自ら発見した運動の法則とこのケプラーの法則から「万有引力の法則」を導き出しました。すなわち太陽と惑星の間に働く力(引力)は、2つの天体の質量の積に比例し、距離の二乗に反比例するという法則です。またこの「万有引力」の法則は、惑星のみならず全てのものに働く引力であると考えました。

ここで惑星は、太陽をひとつの焦点とする楕円軌道を動くとされていますが、そのために惑星と太陽の距離は常に変化しています。この中で太陽に最も近づくときを近日点、最も離れるときを遠日点と呼び、近日点と遠日点の中間までの距離を平均距離として、これが太陽と惑星までの距離と呼ばれているものです。
ちなみに太陽−地球間の平均距離は、1億4960万kmでこれを1AU・・・1天文単位として表し、太陽系内の距離に使うことがあります。

水星

太陽に最も近い惑星「水星」 水星は表面がクレーターで覆われた一見月と同じような天体で、大きさは地球の3分の1しかありません。惑星としては最小の大きさで月と火星の中間くらいです。
また、太陽に非常に近い軌道を回っているため見かけ上太陽から余り離れることはありません。最も離れた場合でも30度以下なので、日没直後あるいは日の出前の限られた時間にしか見ることができないわけです。このことからガリレオは生涯水星を見ることはなかったとさえ言われています。
大気は非常に薄く、殆どがナトリウムです。気温は太陽に近いため日中は400度程度、逆に大気が非常に薄いことから夜間はマイナス200度という過酷な世界です。
さて、水星は約88日で太陽の回りを一周しますが、太陽の重力を強く受けるため自転周期は遅く、公転周期の3分の2(約59日)です。

金星

灼熱の惑星「金星」金星は大気の殆どが二酸化炭素で、また濃硫酸の厚い雲によって覆われているため、地表面の温度は400度以上といわれています。そしてこの雲が太陽の光を反射するために金星は非常に明るく見えます。そして唯一最大光度近くのときは昼間でも見える惑星なのです。
今までは、厚い雲に阻まれており、地表面の状態を観測することは難しいと思われていましたが、探査機のレーダー観測などにより、徐々に地表面の状態がわかるようになってきました。
また、この惑星の大きな特徴としては自転軸が177度と大きく傾いている(実質逆方向)ため、自転方向が他の惑星とは反対になっています。
金星の自転周期は243日、公転周期は225日で自転周期が公転周期より長いこともこの惑星の特徴です。
二酸化炭素の温室効果で表面温度の非常に高い金星は、我々の地球が温暖化によりこのような星になることを示唆してくれているのかもしれません。

火星

人間が移住できるかもしれない惑星「火星」 火星は地球のすぐ外側を回る赤い惑星です。2年2ヶ月ごとに地球に近づいて、赤く不気味に輝く姿を見ますが、これは表面が酸化鉄に覆われておりそれが太陽光に反射して赤くなっているものと考えられています。
望遠鏡では、表面の模様や「極冠」と呼ばれる北極・南極の白い部分(氷あるいはドライアイスと考えられている)が見られます。その地下には水で出来た氷があるのではと考えられています。極冠は時としてその大きさも変化しますし火星特有の地吹雪で表面の模様が見られなくなることもあります。
衛星は、フォボスとダイモスという芋のような2つの衛星をつれています。
また、望遠鏡で見ると運河のような地形があることから、かつて地球以外に生命がいるという惑星として様々な火星人が考えられました(有名なものは蛸みたいな火星人ですね)が、1996年にNASAが火星の隕石に生命の痕跡みたいなものを発見したのは大きな話題になりました。他にも太陽系最大の山であるオリンポス山があります。高さは約25,000mで、エベレストの3倍程度の高さです。

木星

太陽系最大の惑星「木星」 木星は、地球の約11倍の大きさと60を超える衛星を持つ太陽系最大の惑星です。また、その強大な引力で多くの小惑星を引き付け、地球への衝突を必要最低限に抑えて生命の進化をもたらした星とされています。うーん、木星恐るべし望遠鏡で見ると見かけ上わずか上下にひしゃげた円形に見えますがこれは巨大な惑星ですが、10時間という短時間で自転しているために遠心力で赤道付近が膨らんでいるからです。
また、仮に木星が今の100倍以上の重さがあったら自ら核融合反応を起こして二つ目の太陽として輝くことができたと考えられています。

木星を望遠鏡で見ると必ず見える4つの衛星に着目してみてください。これらはガリレオ衛星と呼ばれ、内側からイオ・エウロパ・ガニメデ・カリストという月程度の大きさの衛星です。時間を置いて観測すると(あるいは日をずらして)位置がずれているのがわかります。これによりガリレオは地動説を確信したと考えられています。。これは毎日見るとそれぞれの衛星が位置を変えており、見ていて結構面白いですよ。
次に興味深いのは木星の模様です。木星表面の大気は対流していて、明るい帯は上昇気流(アンモニア結晶)、暗い縞は下降気流(硫酸水素アンモニウムの結晶)と考えられています。木星大気の大部分が、水素とヘリウムですが、メタンやアンモニアもあるのでそれらが小さな氷の粒になり、雲となって木星の周りを回っています。また、木星の南側に有名な大赤飯…じゃなかった大赤斑と呼ばれる台風のような楕円の模様が見えることがあります。これは発見以来300年以上も消えずに存在しています。(薄くなったことはあったみたいです)大きさは変化していますが大雑把に地球を2つ以上並べた大きさです。火星や地球の砂嵐や台風はそんなに長続きしないのにどうして木星の大赤斑は何百年も消えずに存在しているのかはいまだに謎のままです。

土星

美しい輪を持つ神秘的な惑星「土星」土星といえば、その美しい輪を考える人が殆どと思います。土星自体は木星よりやや小さく地球の9.5倍です。また、木星同様自転速度が速く、10時間40分で一回りしています。
ところで土星特有のその輪は、地球を5つ並べたほどに幅がありますが1枚のものではなく、沢山の氷の粒が土星の周りを回っているのであって、外側からA環・B環・C環と呼ばれています。ただしその厚みは数百メートルしかなく地球から見て見かけ上真横に来ると輪が消えて見えなくなることがあります。
土星も木星同様多くの衛星を引き連れていますが、最大の衛星タイタンは分厚い大気層を持っていることで有名です。
輪を持つ惑星は木星・天王星・海王星とありますけど地球からの望遠鏡でその姿を鮮明に捉えられるのは土星の輪だけです。
望遠鏡でこの輪を見ると、すごく宇宙の神秘を感じます。(そういえば、神秘的な宇宙絵には必ずと言っていいほど輪を持った惑星が描かれていますすばらしい景色ですよ)10センチ以上の望遠鏡なら輪の間に隙間(カッシーニの間隙)があること、そしてシーイングがよければ輪にも濃淡があること、本体にも縞模様があることなどがわかります。
そういえば、土星の輪はいつも見えるものではありません。約14.5年に一度、地球から見えなくなります。これは輪が消えるのではなく厚さが幅に比べて極端に薄い(幅は地球を5つ並べたくらいだけど、厚さは数百メートル〜1キロ程度)ため、見かけ上見えなくなるだけです。次に輪が見えなくなるのは2025年です。

天王星

横倒しになった不思議な惑星「天王星」天王星は6等星の青みかかった星です。公転周期が84年と非常に長いため余り動いているようには見えません。さて天王星の特徴は、自転軸が公転面に対して98度傾いているという・・・言い換えれば殆ど横倒しで回っているという事実です。これは過去に何らかの大衝突があったためと考えられます。
また、天王星にも環がありますが、環の輪の発見は偶然に恒星の掩蔽観測から発見されたものです。
天王星は非常に遠い星です。仮に地球を直径1センチのビー玉とすると天王星の位置は地球より約2キロも離れているのですから。でも、望遠鏡でははっきりとわかりますよ。(多分白く輝いています)ですから表面温度も−200度程度と考えられています。
天王星は望遠鏡で見ると青い円盤で見えます。10〜20cmの望遠鏡で200倍くらいなら明らかに他の星(恒星)と違うことがわかると思います。

海王星

最果ての惑星となった美しく青い惑星「海王星」海王星は8等星の青みかかった星です。公転周期は164年で、現在は夏の天の川よりやや東に位置しています。
海王星の発見は、天体力学の勝利と言われていますが、天王星の軌道運動が不規則なことからその外側に大型の惑星があるものと推測され、その位置を計算したところその位置に海王星が発見されたものです。
海王星の表面には、地球より大きな大暗斑があります。
海王星も非常に遠い星です。先ほどと同じ、地球を直径1センチのビー玉とすると海王星に至っては3.4キロも離れているのですから。でも、望遠鏡でははっきりとわかりますよ。(多分青い真珠のように見えます)ですから表面温度も−220度程度と考えられています。
海王星も望遠鏡で見ると青い円盤で見えますが、海王星のほうがより青く見えます。10〜20cmの望遠鏡で200倍くらいなら明らかに他の星(恒星)と違うことがわかると思います。

最後に・・・

これで惑星の解説はいったんお開き。
太陽系の大きさについて考えて見ましょう。
太陽系の果て(科学的に言うと太陽の磁気圏が影響を及ぼせる範囲)は海王星・・・あるいは冥王星からもはるか遠く太陽〜海王星までの距離の約350〜400倍程度(諸説あります)あると言われています。この辺りにはオールトの雲と呼ばれる彗星の基になる小天体が無数に存在すると考えられています。

地球がビー玉の大きさと仮定して・・・の話に戻すと、太陽〜地球までの距離は約117mで太陽〜海王星の距離は約3.5キロとなります。太陽系の果てまでは半径1300〜1400キロ、ほぼ日本列島が入るくらいの大きさです。それでも銀河系から見れば端っこにあるひとつの砂粒に過ぎません。ましてや大宇宙から見れば、顕微鏡でも見えないような小さな小さな存在です。そんな小さな星のさらに小さな人間ということを皆さん理解してください。そして現在人間を含め、生命の息づく星は地球以外ないということも・・・。

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