からす座(Corvus)とコップ座(Crater)

 からす座は、春の大曲線の終着駅・・・スピカをさらに延ばした先にあるいびつな四辺形の星座です。星座を構成する星自体は決して明るい星ではないのですが、形が整っているので意外と日本でも見やすい星座のひとつになっています。また日本本土からは見えませんが、この星座の真南に南十字星があります。
 からす座のモデルのからすは、ギリシャ神話では「アポロンの嘘つきからす」と言われています。かつては白く美しい鳥で、人の言葉を話していたとされるからすでした。ある日、このからすは、道草を食ってアポロンのところへ行くのが遅くなりましてその理由を問いただされたのですが・・・アポロンの恋人のコロニスが、他の男と密会している、その様子をみていたのだとアポロンに口からでまかせの嘘を言ってしまいました。アポロンはすぐさま密会現場に赴き、人影に向かって矢を放ちましたが・・・なんとあろうことかコロニスを射殺してしまったのです。嘆き悲しむアポロンにコロニスは自分のお腹の子供は何とか無事に育ててほしいと言い残して息絶えました。

 これに腹を立てたアポロンは、からすの色を真っ黒にしてさらに人の言葉を奪い、罰として天にはりつけてしまったのです。からす座を構成する4つの星は、からすをはりつけた銀の釘と言われています。

 下の写真にマウスを載せるとからす座とその隣にあるコップ座の星座線がでてきますよ!


 からす座のお隣にあるコップ座・・・盃のようにみえるのですが、なんなのでしょうね。
酒とぶとうの神バッカスが、酒を造るときに使う容器とも言われていますし、別の話では、魔女メディアが若返りの薬を煮込むための容器であるとも言われています。
あるいは先ほど話に出たアポロンが、からすを天にはりつけた際に見せしめのためにこの容器を置いたとも言われています・・・
つまりカラスはどんなにのどが渇いても、目の前に水を満たした盃が見えても決して水を飲むことはできないと。
・・・ちょっと残酷ですね。