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初めて星を見る人に  空を見上げてみよう!

月を見る

月は人類が足跡を残した唯一の天体です。

私たちにとって一番身近な存在は、何をおいても「お月様」ではないでしょうか?望遠鏡のない古来から、人は月の模様を様々なものに見立てたり、その動きから暦を作ったりしていました。そして生命を育むのにも大きな役割を果たしたのも、月の力です。天体として見る場合も・・・多分光害がひどくなったと言っても月の見えない場所はないと思います。そして唯一詳しい地形の模様が地球から観察できる天体です。
まずは天体観測の手始めとして月を見てみましょう。

月の満ち欠けと呼び名

 月は地球の周りを回る衛星であり、太陽と地球との位置関係により様々な形に見かけ上変化します。現在は月齢により月の満ち欠けを表すことが多くなりましたが、古来より様々な月の形状に対して独特の呼び名を人間はつけてきました。「三日月」や「満月」「新月」などは皆さんご存知かと思いますが、他にも様々な呼び方があります。大雑把に月の位置と呼び名について、下の図に示してみました。

月の満ち欠けの解説図です。

月の模様(月面案内)

古来より、あるいは各地域(国)により私たちは月の表面の模様を何らかのものに見立ててきました。日本では、餅をつくウサギ・・・西洋ではカニとか、女性の顔とか、中東では吼える獅子とか言われています。まぁ、その地の風習や慣習があるような気がします。
大まかな模様としては白と黒になるかと思いますが、白の部分は、高地・・・黒の部分は海と呼ばれます。海といっても水があるわけではありません。平らななだらかな場所をそう呼んでいるだけです。逆に高地の部分はクレーターや山脈など起伏にとんだ地形が見られます。
クレーターは隕石の衝突とか火山の爆発とか言われ、その起源は様々です。大きいものでは直径200キロ程度のものもあり、四国がすっぽり入るそうです。
なお、クレーターを見るのは月の欠け際の場所が適しています。この場所では太陽光線が斜めから入るので、クレーターに影ができ立体的に見えるんです。満月のときは、真上から照らす形になるので何とものっぺりした形になり、小さいクレーターはその存在すらわからなくなります。その代わりと言ってはなんですがクレーターから伸びる光条という筋はよくわかります。(月の南にあるティコクレーターの光条は有名です。)
下の満月の写真に主な月の地形名称を記しています。

ところで、月は常に地球に対して同じ面を向けています。これは月の自転と公転がほぼ同じ時間である結果、このようになるのですが、実際は多少なりともずれてくるために半分以上の月の模様は見ることができます。(後で詳述します)
でも、じっくり見れない月の裏側はどうなっているのでしょうか?
実は、その殆どがクレーターで埋め尽くされています。下の写真で、右側が月の裏側(アポロ16号撮影)です。

    まず見れない月の裏側
写真:NASA

ちょっと月のクレーターをアップしてみましょう。これをみると、いかに月の表面がでこぼこなのかがわかりますね。

月のクレーターです!     同じく月のクレーター!
左はアポロ12号撮影・右はアポロ15号撮影
(いずれも写真はNASA)

このように、月は地球から見て非常に近い天体で多くの模様を観察することができます。月面図や月球儀などを手に入れて、じっくり観察してみてください。きっと面白い模様が見つかると思います。(たとえば、月面Xとか)

中秋の名月

 毎年、秋にはお月見ということで「中秋の名月」という言葉が世間を駆け巡るようになります。これは農業を営む人が夏の収穫が終わり、稲刈りが始まるまでの時間が取れるこの時期に、稲の豊作を祈念するお祭りが始まりのひとつといわれています。
 また古来中国で行われていた月を見る催し「望月」が平安時代に日本に伝わって宮中行事として行われたのが起源とも言われています。ただ、これが一般庶民に広がるのは江戸時代まで待たないといけないようでした。
 「中秋」は「仲秋」とも書くことがあります。
 仲秋とは旧暦の秋(7月、8月、9月)の真ん中・・・つまり8月を指し、現在の暦に合わせると9月中旬〜10月初旬になります。その時期に見える満月(=名月)を特に旧暦8月15日を指す「中秋」を使って「中秋の名月」というようです。
 さてさて、日本では「中秋の名月」を祝った1ヵ月後の旧暦9月13日を「後の月」、あるいは「十三夜」として再びお月見をする習慣があり、まだ伝統行事として行われている場所もあるとか・・・。これは日本独自のもので延喜十九年(西暦919年)九月十三日に寛平法王が催した月の宴が始まりといわれています。だけど何で二回目は満月(十五夜)ではなく十三夜を祝うのでしょうね?
 では、最後に中秋の名月は十五夜ですが、必ずしも満月ではありません。むしろ満月でないことのほうが多いのです。月は29.5日で地球の周りを1回りしますが、新月から満月までは半分の14.8日になります。仮に新月が1日の午前10時としましょう。すると十五夜は15日となりますが、実際の満月は14.8日後の16日午前2時頃となるのです。また月の軌道が正確な円軌道でないこともありますし様々な要因でずれます。ですが、そんな理屈ばかりこねては、せっかくのお月見も楽しくなくなりますね。。。知識のひとつとして知っておくだけにしましょう。
 さて、2016年の中秋の名月は9月15日です。(実際の満月は9月17日です。)

月の秤動(ひょうどう)

月はいつも地球に同じ面を向けているのは、月の自転と公転の時間がほぼ等しいからという話は先ほどしました。でも、月は地球の周りを完全な円周上の軌道を回っていない(月の軌道は楕円です)ため、公転速度と自転速度が時としてずれてしまいます。(ケプラーの法則)そのため、ほんの少しだけ普段は見れない面が見られるのです。また、月の赤道面が軌道面に対して1度弱傾いていることもその原因のようです。
その結果、私たちは月の表面のほぼ6割を見ることができます。

月の秤動をアニメーション化したものです!

でも、月って不思議ですね。
そのうち月面基地ができるようになったら、私も地質調査で行けれるようになるのでしょうか?
そのとき地球を見たら、きっとこんな風に見えるんでしょうね・・・。なんとなく感動的な1枚です。漆黒の宇宙に浮かぶ青い星を実感できるのではないかと思います。

漆喰の宇宙に浮かぶ地球!本当に綺麗ですね!!
写真:NASA

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