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初めて星を見る人に  空を見上げてみよう!

星雲・星団を見る

 夜空を見上げると、たくさんの星が見えますが、夜空を彩るものは必ずしも星ばかりではありません。
 遠い宇宙のかなたには、星が生まれ、星が死に、また多くの星を従えた銀河や星雲が息づいているのです。これらの世界を見ることこそ夜空を見る醍醐味かもしれません。
 何千年、或いは何万年も暗い宇宙空間を旅した光が私たちの目に入るという事実をちょっと感じてみませんか?

星雲・星団の見え方について

 私事ですが、私が初めて望遠鏡を手にしたとき、まず向けた星雲がアンドロメダ大銀河でした。誰もが図鑑で見た満月の5倍はあるといわれている巨大な渦巻き・・・が見えるはずと思いきや、全く見えません。これには失望しました。どういうことだ?????いわゆる最初の躓き!
 それはともかく、その後極軸望遠鏡やら勉強をして、初めてオリオン大星雲を捉えました。しかしそこにはぼやーとした雲ともいえる白い光と明るい4つのトラペジウム。。。図鑑で見た紫色に輝くオリオン星雲はどこだ〜!
 時は流れて、春、それは銀河の季節。しかし望遠鏡に映るのは、光の白いシミ・・・しかも分かりにくい。
 最近、球状星団がやっと星に分解され始めました。それまでは白く丸い雲だったのです。
 望遠鏡を使い、眼でみた星雲・星団とはこの程度のものなのです。
 これは、公共天文台の1mを超える望遠鏡でも、私の持っている20cm望遠鏡でも基本的には変わりません。ただ、口径の大きいほうが形をはっきり認識でき、細かいところもわかり、球状星団も周辺は一つ一つの星に分解しますが・・・やはり天体写真には及びません。
 どうしてなのかといいますと、目で見る光はその瞬間だけの光しか捉えることができないからです。つまり星雲の濃淡など蓄積した光でないとわからない部分はなかなか人間の目には判別しにくいということになります。
でも、その淡い光は遠い彼方から暗い宇宙空間を何千年、何万年・・・あるいは何千万年・・・もしかしたら何億年?もかけて地球に届いた光なのです。自分の肉眼でこのような光を見ることができることは素敵なことだとは思いませんか?

手始めはメシエ天体

 一口に、星雲・星団といっても夜空には無数の星雲・星団が散らばっています。何から見ようと思うのなら、まずメシエ天体から始めてみてください。メシエ天体は口径5センチ〜の望遠鏡で見える比較的明るい星雲・星団のリストです。(ただし、今は光害がリストが作られた当時とは比べ物にならないくらいひどいので、全てを5センチ〜で見ることはできません)星図でM31とかM57とかM○○という表示がある星雲・星団がメシエ天体です。
 そんな中でも、たとえばM45(プレアデス星団・・・和名すばる)など非常に大きい星団もあります。そのようなものは双眼鏡で見たほうが全体の美しさを楽しむことができます。また遠い銀河でも明るいものは双眼鏡でもよく見えます。たとえば北斗七星のそばにあるM81、M82の銀河は双眼鏡では同一視野に見られてその形の違いなどわかります。M31(アンドロメダ銀河)も非常に大きい銀河なので全体像を見るには望遠鏡より双眼鏡の方がいいと思います。
 またメシエ天体ではありませんが、天の川、あるいは天の川の中の天体(メシエ天体以外にも、たくさんあります)も双眼鏡のほうが意外と美しく見れるみたいです。

見るところは、暗い場所で

 光害が顕著になってきた現代社会でも、夜空に輝く星はそれなりに見ることができます。しかし星雲や星団は、なかなかそうはいきません。特に星雲は市街地近郊で観察するのはオリオン大星雲のような明るい星雲でない限り難しいものがあると思います。また見る対象が地平線に近ければ近いほど光害の影響は受けやすいので、気をつける必要があります。
 また暗い場所に来たからといってすぐに見られるものでもありません。あらかじめ目を暗闇に慣らしておく必要があります。人間の目は、明るさに対しては敏感に反応して瞳孔を絞りますが、暗いところに来ても、ゆっくりと瞳孔を広げるようになっています。(ですから、暗い場所から明るい場所に移動したとき、一瞬眩しいと感じるがすぐに周辺が見えるのに対し、明るいところから暗い場所に来ると、しばらく何も見えなくなるのです) 通常は大体10分〜15分くらいで目が暗さに慣れると思います。
 暗い場所で見ることから、何かのときのために明かりを使うことがあるかもしれませんが、その際は暗さになれた目のために赤いセロハンなどを巻いた懐中電灯か、赤色の電球をつけた光源を利用しましょう。

双眼鏡での探し方

1.双眼鏡のメリット

 双眼鏡で星空を見るでも紹介しましたが、やはり双眼鏡のメリットはいつでも手軽に両眼で覗ける。また正立像で、違和感があまりないということでしょう。つまり「目の能力を高くした」星を見るための道具ということになります。星雲や星団を見るためには、口径は4〜5cm、倍率は7倍〜10倍くらいがいいでしょう。これでもたいていの星雲や星団、また月の観察には申し分ありません。
 しかも「目の能力を高くした」ことから、目でぼんやり見える星雲や星団をはっきり見るにはある意味、望遠鏡よりメリットが高いこともあります。プレアデス星団やヒアデス星団、オリオン大星雲やアンドロメダ銀河などは、双眼鏡で見るほうが周りの星空と併せて、宇宙の広大さを実感できるのではないでしょうか?

2.双眼鏡で見る際の注意点

 双眼鏡で、星雲や星団を見るときの視野は人間の動きとして水平と垂直の組み合わせにならざるを得ないと思います。つまり星の動きに合わせて移動することが極めて難しいことになります。また手振れを防止するためにカメラの三脚に載せると、さらに自由が利かなくなります。
 星は東から出て西に沈みますが、地上から見れば「円弧」を描くように移動します。また北極星近くの星は、北極星を中心に「左回りに回って」います。一つ一つの星で見れば当たり前のことですが、星の並びである星座で考えると少々やっかいな問題が出てきます。
 何が言いたいのかというと、星座案内の本に描かれている星図はすべて北を上に描かれているので、星座が南にくれば本のとおりに星をたどればいいのですが、東から出たときは左に傾いており、西に沈むときは右に傾いた感じで見えることから、常に星座案内の図と実際の星空は平行でないということです。これは特に天の赤道上に位置するオリオン座やおとめ座などでは、はっきりと分かります。
 星雲や星団はおおむね小さいものが多いので、星座を形作る星からたどるのが常道ですが、星座の形が位置によって把握することが難しい初心者は星座が南に来ないと(本と同じにならないと)なかなか把握できないこともあります。
 この場合は、星の傾きに応じて、本のほうを傾けるしか手がありません。また天頂付近の星座から星雲や星団を探すには、本の上(星図での北側)を北極星のほうに向けて頭の上にかざして見てみましょう。北極星に近い付近の星雲や星団を探すときも、本の上を常に北極星方向に向けて実際の星空と合わせて星座を探してみて下さい。次第に慣れてくれば、本や星図に描かれる星座のスケールと実際の星空のスケールが理解できるようになり、星座の形がどの方向に向いても分かるようになり、目的の星雲や星団も探せるようになるでしょう。(ふっくんは、うしかい座やヘラクレス座が西に来ると今もって迷うことがありますが)
 ところで最近は自分の位置と方向に合わせて、今見える星空を案内するように画面が動くアプリを入れたスマホやタブレットがあり、非常に便利なのですが、スケールの違いを把握することは同じですよ。

望遠鏡での探し方

1.望遠鏡のメリット

 望遠鏡についての細かい話は、望遠鏡で星空を見るを参照いただくとして・・・まず、星雲・星団探しで望遠鏡を使うメリットは、何といっても双眼鏡では光のしみにしか見えないような、暗くて小さい天体を、大きく細かく拡大してみることが出来るということでしょう。たとえば、球状星団の周囲の星を分解して見るとか、系外銀河の細かい構造を見るとか、観望だけではなく、観測にも十分耐えれると思います。
 また、望遠鏡は双眼鏡に対して大型で重いため、架台が必須となります。ですから手振れに悩まされることなく、ゆっくりと星雲や星団をみることができます。
 架台については、赤道儀式と経緯台の2種類がありますが、星雲や星団を追いかけるには、赤道儀式が断然有利です。ただ、赤道儀式は経緯台のようにそのままどこでも好きな方向に置いてOKというわけにはいきません。極軸を北極星の方向にちゃんと向けておかないと、これほど扱いにくいモノはないという架台になるので、その点だけは注意しましょう。詳しくは、望遠鏡で星空を見るを参照下さい。
 さて、最近はコンピューターを搭載して、目的の天体を簡単に入れてくれるハイテク望遠鏡も出てきています。ふっくんも愛用していましたが・・・星をたどって目的の星雲を入れるという「感動」も味わってもらえたら、星を見る楽しみも増えるのではないでしょうか?

2.望遠鏡の使い方

望遠鏡の視野というものは、非常に狭いものです。
難しい話はここでは割愛しますが、100m先の1.5cm少々のビー玉・・・見えますかね。これが角度で言うと約30秒・・・視力2.0の人が見分けられる限界の大きさで、いて座の三裂星雲がこの大きさになります。これをなにもない100m先の壁に貼り付けて、視界1度程度の望遠鏡で探すことが出来るでしょうか。なかなか難しいと思います。ですから、望遠鏡にはファインダーという7倍程度の小望遠鏡が脇についていて、これで大まかに目的の天体を導入し、その後望遠鏡本体で微調整をしながら目的の天体を視野に入れます。その際には、望遠鏡の本体も低倍率で見えるアイピースから高倍率で見えるアイピースに変えていくなどするほうがよいでしょう。

3.星雲・星団の見方

 双眼鏡でも同じことが言えますが、星団は星の集まりなので集光力が高い分比較的見やすいと思います。星雲は暗闇に目を慣らすことはもちろんですが、人間の目は視線の中心より脇のほうが感度が高いので、アイピースを注視せずに、すこし視線を外したほうがよく見えることもあります。
 また、アイピースは焦点距離の短い方(倍率が高い方)が視野に余計な光が入ってこないことから、暗い星雲や淡い星雲はより見やすくなることもあります。
 では、星雲・星団の観望を楽しんでください。

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