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太陽系の不思議 星空の不思議 銀河宇宙の不思議 用語解説

星雲・星団の不思議

太陽系を抜け出して宇宙空間に飛び出すと、様々な天体に出会うことが出来ます。それは星(恒星)だけではなく、星が集まった星団や、ガスが集まった星雲などです。
星雲はガスや塵が集まって出来た天体で、大きく分類すると「暗黒星雲」「輝線星雲」「反射星雲」「超新星残骸」に分けられます。
また星の集まり・集団である星団は「散開星団」「球状星団」「アソシエーション」に分けられます。
これらの天体はどのような素顔をしているのでしょうか?

暗黒星雲とは?

 暗黒星雲は、写真で見ると星が殆どなくて黒く塗りつぶされたような星雲です。これは宇宙空間に漂う塵やガスが濃いために、背後の星の光を消すため、結果として黒く見えることからそう呼ばれています。暗黒星雲は、天の川に沿って見られることが多く、みなみじゅうじ座の近くにある石炭袋(コールサック)や、はくちょう座のデネブに程近い天の川周辺、オリオン座の馬頭星雲などが挙げられます。
 暗黒星雲は、この場所からの光は出ていなかったので、光での観測が主だった昔の天文学者はその正体が分からず、星のない領域と認識されていました。そのため近年まで、天文学者の興味を引くことがなかったのです。ハーシェルは天空に開いた穴と考え、暗黒星雲のリストを作ったバーナードも星のない空間と考えていたようです。しかしその後、ウォルフという天文学者が暗黒星雲の周辺が輝いていることに注目し、光をさえぎるものがあるのではと考えるようになりました。
 その後、電波、特にミリ波と呼ばれる波長の長い電磁波による観測が可能になってから、暗黒星雲の実態は急速に明らかになりました。暗黒星雲は星がない空間ではなく、水素以外にも様々な分子が多数見つかり、暗黒に見える領域そのものが沢山の種類の分子を含む「分子雲」であることが分かったのです。分子には水素だけではなく、炭素、窒素、酸素、珪素、硫黄など様々な種類を含み、中には生命の元になる有機分子も発見されたのです。
 さらに暗黒星雲の質量の一部は、様々な分子の塵であり、これが背景の星の光を拡散、吸収することで暗くみえたのです。
 さて、暗黒星雲の濃度が濃い場所では、恒星が生まれる現場となっていることもあり、このような天体を観測すると我々太陽系の誕生の謎も解き明かされるヒントが隠れているとも言われています。

オリオン座の「馬頭星雲」

作者 Hewholooks [CC BY-SA 3.0 ]

輝線星雲とは?

 輝線星雲とは、赤色など様々な色で輝いている星雲のことです。色は赤色が代表的ですが、他にも青色や黄色、緑色などがあります。発色の原理は、ガスが近くにある星のエネルギー(光子)を受けてガスが電離し、再び結合するときに物質に応じた様々な光の波長を出すことに由来します。
 星が若くてエネルギーの多いO型やB型であれば、星雲はそれらの星から発せられる強い紫外線を受けて、水素原子が陽子と電子に電離します。その陽子と電子に分かれた水素原子が再び結びつくとき、波長656.3nmのHα線が出され、これにより星雲は赤く輝きます。、これは一般に「HU領域」と呼ばれています。
 輝線星雲の代表的なものは、はくちょう座の北アメリカ星雲やいっかくじゅう座のコーン星雲、干潟星雲などが挙げられます。

いて座の「干潟(ひがた)星雲」

作者 Philipp Salzgeber [CC BY-SA 2.0 at]

 一方白色矮星からのエネルギーにより照らされて輝いているものは、特に「惑星状星雲」と呼ばれています。
 惑星状星雲は、太陽の8倍までの大きさの星が最期を迎えた姿であり、巨大化した星のガスが星の重力を振り切り、外に広がっていく一方で中心核は徐々に自らの重力で収縮して白色矮星となり、そこから放出する紫外線により電離したガスが輝くようになったものです。逆を言えば、惑星状星雲には星雲を輝かせる白色矮星が必ずあるということです。
 惑星状星雲として代表的なものは、こと座のリング星雲、こぎつね座の亜鈴状星雲、みずがめ座のらせん星雲などが挙げられます。

こと座の「リング星雲」

The Hubble Heritage Team (AURA/STScI/NASA)

反射星雲とは?

 反射星雲は、宇宙空間にある塵やガスが近くの恒星の光を乱反射することで青白く見える星雲のことです。反射星雲を照らす恒星は、塵やガスを電離するほどのエネルギーは持ち合わせていませんが、錯乱光で塵を照らすには十分な明るさを持っています。つまり、同じ光る星雲でありますが、輝線星雲とは原理が違うわけです。
 なぜ青く光るのかは、塵による光の錯乱は波長の長い光よりも波長の短い光に効くためで、これは空が青いのと同じ理屈です。
 代表的な反射星雲は、おうし座のプレアデス星団(すばる)をとりまく青白い星雲、オリオン座にあるM78星雲(ウルトラの星?)であり、他にもいて座の三裂星雲や、赤い色をしていますがはくちょう座のまゆ星雲などがあります。

オリオン座の「M78星雲」

作者 Starhopper [CC BY-SA 4.0 ]

超新星残骸とは?

超新星残骸も、しばらくの間は星雲として残ることになります。超新星とは、太陽の8倍以上の重さの星が最期を迎えるときに起きる星の大爆発であり、これにより沢山のガスや塵を宇宙空間に放出します。そのとき放出されたガスは電離しているために光を放射しており、それが超新星残骸となって光っているのです。
超新星の残骸は、その後も猛烈なスピード(毎秒数100〜1000km以上)で膨張をしていき、その際に周囲のガスを取り込んで、膨張するガスの衝撃波面が周囲のガスにぶつかることで高温状態を維持し、それによって光り続けていきます。やがて数万年経って膨張ガスが高温状態を維持できなくなると、宇宙の闇の中に消えていくことになります。

おうし座の「かに星雲」

NASA, ESA, J. Hester and A. Loll (Arizona State University) (HubbleSite: gallery, release.)

散開星団

 散開星団は、半径が数光年〜数十光年の範囲に数百から数千個の星が集まっているものです。散開星団は、ひとつのまとまった星雲(分子雲)から星が生まれた結果であり、多くの散開星団が濃い星間ガスや星間物質を伴っています。これらの星は若い頃はお互いの重力でまとまっていますが、そうこうしているうちに星同士が近づくと片方の星が非常に速度を増して星団から飛び出して独り立ちするようになります。このような過程を経て、散開星団に属する星はばらばらに独り立ちし、数億年程度で散開星団は崩壊し、なくなると考えられています。
 かつては太陽も沢山の兄弟星のひとつとして生まれたのかもしれませんが、46億年経った今となっては、どれが兄弟星が見つけるすべはありません。
 散開星団は、現在までに1000個程度見つかっていますが、その多くが銀河面に沿ってあるために、塵やダストなどの星間物質により遮られていることから、実際には数万個の散開星団が銀河系にはあると考えられています。また散開星団に含まれる星の多くが若い星で占められています。
 代表的な散開星団は、おうし座のプレアデス星団(すばる)、ヒアデス星団、かに座のプレセペ星団、ペルセウス座の二重性団などがあります。また、散開星団の図鑑や解説に小文字でc〜gまでの記号がついていることがありますが、これは密集度をあらわしたものでcが一番まばらで記号が上がるごとに段々密集していくことを表しています。

球状星団

 球状星団とは、数万〜数十万の星が直径100光年〜1000光年の間にその名のとおり球状に集まっている星団です。またどの球状星団も姿かたちが似たものが多く、写真だけで区別することは難しいです。
 球状星団は、銀河系を取り巻くハローの中に点在しており、その数はおよそ150程度と見積もられています。また他の銀河でも周りを取り囲むハローに球状星団がいくつか見つかっています。
球状星団は、散開星団と違い、構成する星の多くが質量の小さい古い天体で出来ています。つまりは球状星団自体が非常に古い天体ということです。また構成する星のスペクトルによる観測から、殆どが重元素の少ない星であり、銀河系誕生とほぼ同時期に誕生したのではないかと考えられています。
 球状星団の生成については、まだ明確なものはありませんが、回転しながら収縮する原始ガス雲の一部が、衝撃を受けて、その内部の流れが乱流に移り変わるときに球状星団に成長するという考え方もあります。

余談として、太陽系が銀河系の端にあるという事実は球状星団の観測からもたらされたという話があります。簡単に言うと、20世紀初頭まで太陽系は銀河系の中心付近に位置していると考えられていました。それは観測できる天の川の星の分布がほぼ一様に見られたからであったのですが、太陽系から見た球状星団の分布は著しく非対称でした。もし球状星団が銀河系に一様に分布しているのであれば、そんなことはありません。そこでアメリカの天文学者シャプレーは、球状星団が天球上のある方向に集中して分布していることに着目し、それぞれの球状星団までの距離を算出、太陽系が銀河系中心からおよそ28000光年端にあることをはじめて明らかにしました。

 代表的な球状星団は、ヘラクレス座の球状星団やケンタウルス座のω星団などが挙げられます。
球状星団も、その密集度によってT(密)〜]U(粗)に分類されています。

アソシエーション(星落)

アソシエーションとは、同じ分子雲から生まれた若い星が数百光年の範囲に数十個から百個程度集まった集団であり、非常に緩やかな散開星団といったところでしょうか。またそれぞれの星は、散開星団ほど重力的な束縛は受けていません。
また、主に星間物質が多くある銀河系の腕に沿って見られるのもひとつの特徴です。
アソシエーションには、O型星、B型星が集まっているOBアソシエーションと呼ばれるものと、おうし座T型星が集まっているT型アソシエーションの2種類があります。代表的なアソシエーションはオリオン大星雲の周辺に分布するオリオンOBアソシエーションなどです。
 前述のように、アソシエーション内の星は最も相互の重力的結合が小さいことから、それぞれの星がかなり自由に運動しています。その結果、数百万年程度の短い期間で、アソシエーションは崩壊すると考えられています。

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